COLUMN
コラム
先入れ先出しとは?|在庫管理で守れない原因と、現場で徹底する方法を解説

「先入れ先出しのルールは決めているのに、気づくと古い部品が奥に残っている」「使用期限の切れた資材が、棚卸のときに見つかった」。在庫管理の基本といわれる先入れ先出しですが、現場で守り続けるのは意外と難しいものです。
本記事では、先入れ先出しの意味や後入れ先出しとの違い、メリットを整理したうえで、製造業の部品置き場で先入れ先出しが守れない原因と、現場で徹底する方法を解説します。
目次
1. 先入れ先出し(FIFO)とは
2. 先入れ先出しのメリットとデメリット
3. 先入れ先出しが守れない原因
4. 先入れ先出しを現場で徹底する方法
5. Iroato WMSでできること
6. よくある質問
7. まとめ
1. 先入れ先出し(FIFO)とは
先入れ先出しとは、先に入庫したもの(古いもの)から順に出庫・使用する在庫管理のルールです。英語の「First In, First Out」の頭文字をとって「FIFO」とも呼ばれます。
食品や医薬品のように期限があるものだけでなく、製造業の部品や資材でも、品質の劣化や、仕様の古い在庫の残りを防ぐために広く使われています。
後入れ先出し(LIFO)との違い
先入れ先出しの反対が、後から入庫したもの(新しいもの)から先に出す「後入れ先出し(LIFO)」です。
| 先入れ先出し(FIFO) | 後入れ先出し(LIFO) | |
| 出す順番 | 古いものから | 新しいものから |
| 主な目的 | 品質の維持、期限切れ・長期滞留の防止 | 出し入れの手間を減らす |
| 向いているもの | 期限や劣化があるもの、仕様が変わるもの | 劣化しにくく、積み上げて保管するもの(砂利や鋼材など) |
会計の「先入先出法」との違い
会計でも「先入先出法」という言葉が使われます。こちらは、払い出した分と残った分の在庫の金額を計算する方法の一つで、「先に仕入れたものから先に払い出された」とみなして計算します。実際のモノの出し入れの順番とは別の、計算上のルールです。なお、日本の会計基準では、後入先出法は現在認められていません。
本記事では、倉庫や置き場での実際のモノの出し入れとしての先入れ先出しを扱います。
2. 先入れ先出しのメリットとデメリット
メリット
- 品質の劣化や期限切れを防げる:古いものから使うため、保管中の劣化や、使用期限切れによる廃棄を減らせます
- 長期滞留在庫を減らせる:奥に残ったまま忘れられる在庫が減り、置き場も整理されます
- 在庫を正確に把握しやすくなる:出庫の順番が決まっているため、どのロットがどれだけ残っているかを追いやすくなります
デメリット
- 作業の手間が増える:新しいものを奥に入れ、古いものを手前に出すといった「荷繰り」が必要になることがあります
- 管理する情報が増える:入庫日やロットを区別して記録する必要があります
デメリットを抑えるには、置き方や記録の方法を工夫して、手間をかけずに守れる仕組みをつくることが大切です。
3. 先入れ先出しが守れない原因
どれが古いか見分けがつかない
同じ部品が複数の入庫日に分かれて置かれていると、見た目では新旧の区別がつきません。入庫日やロットの表示がなければ、作業者は判断のしようがありません。
取りやすい新しいものから使ってしまう
補充した新しい部品が手前に置かれると、作業者はつい取りやすい手前から使ってしまいます。奥の古い部品は、気づかれないまま残り続けます。
平置きやエリア置きで、古い在庫の場所が分からない
棚番が決まっていない平置きやエリア単位の置き場では、同じ部品が何か所かに分かれて置かれることがあります。古い在庫がどこにあるかを探す手間がかかると、近くにある在庫で済ませてしまいがちです。
経験や勘に頼っている
「どれから使うか」がベテランの経験に頼っていると、新人や応援の作業者は判断できません。厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)によると、製造業で働く外国人は約64万人にのぼります。経験や日本語の読み書きに頼らなくても、誰が見ても古いものから使える仕組みが求められていると考えられます。
引き当てた在庫と、取り出す在庫がずれる
システムで古いロットを引き当てていても、現場で別のロットを取り出してしまえば、先入れ先出しは崩れます。帳簿上は古いロットが減り、実際には新しいロットが減るため、帳簿と現物のずれの原因にもなります。
4. 先入れ先出しを現場で徹底する方法
新旧を一目で分かるようにする
部品や箱に入庫日・ロット番号のラベルを貼り、新旧を見分けられるようにします。入庫月ごとにラベルやテープの色を変えておくと、どれが古いかを遠くからでも判断できます。
置き方・レイアウトを工夫する
「補充は奥から、取り出しは手前から」のように、入れる側と出す側を分けるのが基本です。
- 棚の場合:後ろから補充し、前から取り出せる流動ラック(傾斜のついた棚)を使うと、置くだけで古いものが手前に来ます
- 平置きの場合:補充する側と取り出す側を床のラインや表示で分け、置く向きをそろえます
ルールを決めて共有する
入庫時の置き方や、取り出すときの確認方法を手順書にまとめ、写真付きで共有します。置き場の整理・整頓を日ごろから続けることも、ルールを守り続けるための土台になります。
システムで記録・引当・照合をつなげる
Excelでも入庫日やロットを記録できますが、品目や入出庫が増えると、更新が追いつかなくなりがちです。先入れ先出しを確実に守るには、次の3つをつなげて管理することが有効です。
- 入庫時に記録する:入庫日・ロット・置いた場所をその場で記録する
- 古い順に引き当てる:出庫の指示が出た時点で、古い在庫から自動で割り当てる
- 払い出しのときに照合する:取り出した部品のコードを読み取り、引き当てたものと合っているかを確かめる
記録・引当・照合がつながっていれば、作業者の経験に頼らずに、古いものから使う流れをつくれます。読み取りによる照合の考え方は、誤出庫・ピッキングミスを防ぐには?コラムでも解説しています。
5. Iroato WMSでできること
製造業の部品出庫に向けた入出庫管理の仕組みとして、Iroato WMSがあります。4章で紹介した「記録・引当・照合」の仕組みづくりに役立つ、次のような機能があります。
- 先入れ先出しでの自動引当:作業指図(WO)をCSVで一括取込し、出庫予定日の早い指図から順に在庫を引き当てます。割り当てる在庫は、先に入庫したものからです
- 不足のアラート:引き当てられなかった分は赤・黄のアラートで表示されるため、不足を払い出しの前に把握できます
- 置き場ごとのまとめ表示:棚ごとに対象品目をまとめて表示し、効率のよい順路で取り出せます
- 出庫指示との照合:出庫指示のデータにもとづいて、取り出すもののコードを読み取り、照合します。払い出しの際も、独自開発の2次元カラーバーコード「カメレオンコード」で最終確認を行います
- 上位システムとの連携:品目マスタや在庫データをCSVで入出力でき、ERPなどの上位システムと連携できます
入出庫管理全体の流れについては、入出庫管理とはのコラムもご覧ください。
6. よくある質問
Q. 「先入れ先出し」と「先入先出」は違うものですか?
A. 「古いものから先に出す」という意味は同じで、送り仮名の有無の違いです。会計では「先入先出法」という表記がよく使われますが、1章で紹介したとおり、こちらは在庫の金額を計算するときの考え方を指します。
Q. 入庫日より使用期限を優先したい場合はどうすればよいですか?
A. 入庫の順番と期限の順番が一致しないものは、期限が近いものから先に出す「先期限先出し(FEFO:First Expired, First Out)」で管理する方法もあります。品目ごとに、入庫日と期限のどちらを優先するかを決めておきましょう。
Q. Excelでも先入れ先出しは管理できますか?
A. 品目や入出庫が少なければ、入庫日やロットごとに行を分けて管理することもできます。ただし、入力や更新が後回しになると、現物とのずれが起きやすくなります。入出庫が多い場合は、その場で記録できる仕組みの活用を検討するとよいでしょう。
7. まとめ
- 先入れ先出し(FIFO)とは、先に入庫した古いものから順に出庫・使用する在庫管理のルール
- 会計の「先入先出法」は在庫の金額を計算する方法で、現場のモノの出し入れとは別のもの
- 先入れ先出しが守れない主な原因は、新旧が見分けられない、取りやすい新しいものから使う、古い在庫の場所が分からない、経験に頼っている、引き当てた在庫と取り出す在庫がずれる、の5つ
- ラベル・置き方・ルールの工夫に加え、記録・引当・照合をシステムでつなげると、人が入れ替わっても守りやすくなる
先入れ先出しの徹底や、部品の在庫・払い出しの管理にお悩みの方は、こちらよりお気軽にご相談ください。
本記事で触れた効果・機能の詳細は、現場の環境・設備によって異なります。詳細は個別にご相談ください。