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コラム

2026.10.30 入出庫管理

在庫引当とは?|有効在庫の計算方法・引当の種類と、ずれを防ぐポイントを解説

「システム上は在庫があるのに、出庫しようとしたら別の注文で使う予定の分だった」「部品が足りないことに、払い出しの直前で気づいた」。こうしたトラブルを防ぐために欠かせないのが、在庫引当(在庫の引き当て)です。

本記事では、在庫引当の意味と有効在庫の計算方法、引当の種類やタイミングを解説します。あわせて、「引き当てたはずなのに現物がない」というずれが起きる原因と、その防ぎ方も紹介します。

目次

1. 在庫引当とは

2. 在庫引当が必要な理由

3. 在庫引当の種類とタイミング

4. 在庫引当の管理方法

5. 「引き当てたのに現物がない」を防ぐには

6. Iroato WMSでできること

7. まとめ

1. 在庫引当とは

在庫引当とは、受注や生産の予定に合わせて、手元の在庫のうち「この注文(この生産)に使う分」をあらかじめ確保しておくことです。確保された在庫は「引当済み在庫」、まだどの予定にも割り当てられていない在庫は「未引当在庫」と呼ばれます。 なお、会計で使われる「貸倒引当金」などの引当とは別の意味です。在庫管理で「引当」というときは、在庫の確保を指します。

実在庫・引当在庫・有効在庫の違い

庫引当を理解するには、3つの在庫数の違いを押さえておくことが大切です。

在庫の種類意味
実在庫倉庫や置き場に実際にある在庫の数
引当在庫受注や生産の予定のために確保済みの在庫の数
有効在庫実在庫から引当在庫を引いた、新たな注文や生産に使える在庫の数(入荷予定を含めて考える場合もある)

計算式は次のとおりです。

有効在庫 = 実在庫 - 引当在庫

なお、すでに発注済みで入荷予定の数(発注残)を加えて、「実在庫+発注残-引当在庫」で有効在庫を計算する場合もあります。今すぐ使える数を知りたいときは実在庫から、手配の要否を判断するときは入荷予定も含めて考えるなど、目的に合わせて使い分けます。

たとえば、部品Aが置き場に100個あり、そのうち60個が来週の生産に引き当てられているとします。このとき有効在庫は40個です。別の生産で部品Aを50個使う予定が入っても、使えるのは40個までなので、入荷予定がなければ10個を追加で手配する必要があります。実在庫の100個だけを見て判断すると、どちらかの生産で部品が足りなくなってしまいます。

2. 在庫引当が必要な理由

欠品・納期遅延を防ぐ

同じ在庫を、複数の注文や生産に重ねて引き当ててしまうことを「二重引当」といいます。引当をしていない場合や、引当の情報がすぐに共有されない場合に起こりやすく、出庫や払い出しの段階で初めて欠品に気づくことになります。その結果、納期遅延や生産ラインの停止につながります。

発注・手配の判断が正確になる

入荷予定も含めた有効在庫が分かれば、「あといくつ手配すればよいか」を正しく判断できます。実在庫だけを見て発注を判断すると、足りないのに手配しない、あるいは必要以上に発注して在庫を抱える、といったことが起こりやすくなります。

部門間で在庫の状況を共有できる

営業・生産管理・倉庫など、在庫に関わる部門が同じ有効在庫を見て判断できるため、「使えると思っていた在庫が使えなかった」という行き違いを減らせます。

3. 在庫引当の種類とタイミング

在庫引当は、いつ・何をきっかけに在庫を確保するかによって、主に次の種類に分けられます。

種類タイミング主な場面
受注引当顧客から注文を受けたとき製品・商品の販売、出荷
生産引当生産計画や作業指図を作るとき製造業での部品・資材の確保
予測引当需要の予測にもとづいて事前に繁忙期や定期的な注文への備え

製造業では、生産引当が特に重要です。多品種の製品で同じ部品を使う現場では、生産の予定ごとに部品を確保しておかないと、ある製品の生産で使ってしまい、別の製品の生産で足りなくなる、ということが起こります。

また、受注が確定する前に在庫を仮に押さえる「仮引当」と、確定後に正式に確保する「本引当」を分けて運用する場合もあります。仮引当のまま受注に至らなかった分は、早めに解除しないと、使える在庫が実際より少なく見えてしまいます。仮引当・本引当の区切り方は、企業やシステムによって異なります。 複数の予定で同じ在庫を取り合う場合は、どの予定から引き当てるかという優先順位を決めておくことも大切です。納期や出庫予定日が早い順に引き当てるのが一般的です。

引当から払い出しまでの流れ

製造業の部品を例にすると、在庫引当はおおむね次の流れで進みます。

  1. 生産の予定が決まる:生産計画や作業指図で、いつ・どの部品を・いくつ使うかが決まります
  2. 在庫を引き当てる:有効在庫から必要な数を確保します。足りない分は、この時点で追加の手配を判断します
  3. 出庫・払い出しをする:引き当てた部品を置き場から取り出し、生産ラインへ払い出します
  4. 引当を消し込む:払い出しが終わったら、引当在庫と実在庫の両方から、その数を減らします

最後の消し込みが漏れると、帳簿の数がずれてしまいます。実在庫は減らしたのに引当だけが残っていると、有効在庫が実際より少なく見え、必要のない追加手配につながります。反対に、払い出した数を実在庫から減らし忘れると、使い終わった部品が帳簿に残り、5章で紹介する「あるはずなのにない」の原因になります。

4. 在庫引当の管理方法

在庫引当の管理方法には、主に次の3つがあります。

方法向いている場合注意点
手書き・紙の台帳品目や注文が少ない記入漏れや転記ミスが起きやすく、最新の状況を共有しにくい
Excel品目がある程度あり、費用をかけずに始めたい同時に編集しにくく、更新のタイミングがずれやすい。担当者に頼りがち
在庫管理システム品目や注文が多い、複数の部門で在庫を共有したい導入の費用や手間がかかる。現場の運用に合うかの確認が必要

Excelは手軽に始められますが、品目や注文が増えると、引当の計算や解除の更新が追いつかなくなりがちです。引当の件数が増えてきたら、受注や作業指図のデータから自動で引き当てられるシステムの活用を検討するとよいでしょう。

5. 「引き当てたのに現物がない」を防ぐには

在庫引当で見落とされがちなのが、引当はシステム上の在庫数(帳簿の数)をもとに行われるという点です。帳簿と置き場の現物がずれていれば、正しく引き当てたつもりでも、払い出しの段階で「あるはずの部品がない」ということが起こります。

ずれが起きる主な原因

  • 入出庫の記録違い:持ち出した数と入力した数が違うと、帳簿の在庫が実際より多いままになります
  • 置き場が分からない:帳簿上はあっても、どこに置いたか分からず探せない部品は、実際には使えません
  • 引当の解除・変更漏れ:生産計画の変更や受注の取り消しのとき、引当を解除し忘れると、使える在庫が少なく見えたままになります
  • 使う在庫の取り違え:引当の対象と違うロットや、新しい在庫から先に使ってしまうと、引当と現物の対応が崩れます

ずれを防ぐ運用のポイント

  • 入出庫をその場で記録する:後でまとめて入力せず、コードの読み取りなどでその場で記録すると、記録違いを減らせます
  • 置いた場所を記録する:平置きやエリア単位の置き場では特に、置き場まで記録しておくと、引き当てた部品をすぐ取りに行けます
  • 計画の変更を引当に反映するルールを決める:誰が・いつ引当を解除・変更するかを決めておきます
  • 定期的に帳簿と現物を照らし合わせる:棚卸で差異を確認し、原因を記録しておきます

記録違いが起きる原因と対策は誤出庫・ピッキングミスを防ぐには?で、棚卸の進め方は製造業の棚卸を効率化する方法で詳しく解説しています。

6. Iroato WMSでできること

製造業の部品出庫に向けた入出庫管理の仕組みとして、カメレオンコードを使ったWMS、Iroato WMSがあります。在庫引当に関わる主な機能は次のとおりです。

  • 作業指図からの自動引当:作業指図(WO)をCSVで一括取込し、出庫予定日順に在庫を自動で引き当てます
  • 不足のアラート:引き当てられなかった分は赤・黄のアラートで表示されるため、不足を払い出しの前に把握できます
  • 置き場ごとのまとめ表示:棚ごとに対象品目をまとめて表示し、効率のよい順路で取り出せます
  • 払い出し時の最終確認:独自開発の2次元カラーバーコード「カメレオンコード」を読み取り、払い出しの際に最終確認を行います
  • 上位システムとの連携:品目マスタや在庫データをCSVで入出力でき、ERPなどの上位システムと連携できます

総務省の令和8年版 情報通信白書では、自社の何らかの業務で生成AIを利用していると回答した日本企業の割合は86.4%でした。Iroato WMSでは、在庫や引当の状況を、お使いの生成AIに日本語で質問して確認することもできます(接続は読み取り専用)。

入出庫管理全体の流れについては、入出庫管理とはもご覧ください。

7. まとめ

  • 在庫引当とは、受注や生産の予定に合わせて、使う分の在庫をあらかじめ確保しておくこと
  • 有効在庫(実在庫-引当在庫。入荷予定を含めて考える場合もある)を見ることで、二重引当による欠品や、発注の判断ミスを防ぎやすくなる
  • 引当には受注引当・生産引当・予測引当などがあり、製造業では生産計画や作業指図にもとづく引当が重要
  • 引当は帳簿の数をもとに行うため、入出庫の記録や置き場の管理が正しくないと、「引き当てたのに現物がない」というずれが起きる

在庫引当の運用や、部品の不足・払い出しの管理にお悩みの方は、こちらよりお気軽にご相談ください。

本記事で触れた効果・機能の詳細は、現場の環境・設備によって異なります。詳細は個別にご相談ください。