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AI活用で変わる認識技術の選び方|カメレオンコード・RFID・バーコードの違いとは

棚卸や入出庫、作業者の管理など、工場や倉庫でモノやヒトを識別する自動認識技術として、バーコード・QRコード、RFID、そしてカメレオンコードのようなカラーバーコードが使われています。
総務省の令和8年版 情報通信白書では、自社の何らかの業務で生成AIを利用していると回答した日本企業の割合が86.4%にのぼっています。こうした生成AIの広がりとともに、工場や倉庫の現場で集めたデータもAIで活用したいと考える企業が出てきていると考えられます。
本記事では、3つの技術の違いを整理したうえで、AIと組み合わせたときに何ができるかという視点から、技術の選び方を解説します。
1. カメレオンコード・RFID・バーコードの基本的な違い
1-1. バーコード・QRコード、RFID、カラーバーコードの特徴
・バーコード/QRコード
ラベルに印刷したコードを、ハンディターミナルやスマートフォンで読み取る方式です。ラベルが安価で、多くの現場で普及しています。QRコードはバーコードより多くの情報を持てます。一般的には1点ずつかざして読み取りますが、コンベヤー上の固定式スキャナで自動的に読み取る使い方もあります。
・RFID
ICタグを対象に取り付け、電波で情報を読み取る方式です。見通しがなくても複数のタグを一括で読み取れるため、箱の中の商品や、ゲートを通過したモノの記録に強みがあります。一方で、専用のタグ・リーダー・アンテナが必要で、金属や液体の多い環境では読み取りが不安定になる場合があります。
・カメレオンコード(カラーバーコード)
色の配列で情報を表す2次元コードです。スマートフォンやネットワークカメラの映像から画像認識で読み取り、カメラに映った複数のコードをまとめて認識できます。詳しい仕組みはカメレオンコードとはをご覧ください
1-2. 自動認識技術の比較表
| バーコード・QRコード | RFID | カメレオンコード | |
| 読み取り方法 | 読み取り機・スマートフォンでかざす | 電波でタグを読む | カメラ映像から画像認識 |
| 一括読み取り | 基本的に1点ずつ、最大数点 | 可能 | 可能(カメラの視野内最大100個) |
| 対象物の見通し | 必要 | 不要 | 必要 |
| 読み取りの手間 | 一般的には人がかざす(固定式スキャナで自動化する方法もある) | ゲート・リーダーの近くを通す | カメラに映れば自動で読める |
| 位置情報 | スキャンした地点 | リーダーのあるエリア | カメラ映像内の座標 |
| 必要なもの | ラベル・読み取り機 | ICタグ・リーダー・アンテナ | 印刷したコード・カメラやスマートフォン |
| 電波 | 使わない | 使う | 使わない |
2. AIと組み合わせると何が変わるか
AIの分析結果は、もとになるデータの質に左右されます。3つの技術は、AIに渡せるデータの「細かさ」が異なります。ここでは、各技術の一般的な使われ方(バーコード・QRコードはハンディ端末、RFIDは固定リーダー、カメレオンコードは固定カメラ)で比べます。なお、カメレオンコードもスマートフォンで読み取る使い方では、その時点の記録になります。
| バーコード・QRコード | RFID | カメレオンコード | |
| AIに渡せるデータ | 点(スキャンした時点) | エリア(通過・在否) | 座標・動線(映像内の位置と動き) |
| 記録のタイミング | スキャンしたとき | リーダーの範囲を通過したとき | カメラに映っている間 |
| AIで分析しやすいこと | 在庫数・出荷実績の傾向 | 通過・滞留の傾向 | 個人やモノごとの動き方・所在 |
2-1. バーコード・QRコード × AI:「点」のデータ
バーコード・QRコードで得られるのは、「いつ・どこで・何をスキャンしたか」という点のデータです。出荷実績や在庫数の推移をAIで分析し、需要予測や発注量の見直しに役立てるといった使い方が考えられます。
ただし、ハンディ端末で読み取る運用では、記録が残るのは人がスキャンした瞬間だけです。スキャンとスキャンの間にモノがどう動いたかは分からず、読み取り漏れがあるとAIの分析にもそのまま影響します。
2-2. RFID × AI:「エリア」のデータ
RFIDでは、タグがリーダーの近くを通過したタイミングで自動的に記録が残ります。人の作業に頼らずに、「どのエリアを・いつ通過したか」というエリア単位のデータを大量に集められるのが強みです。AIで分析すれば、在庫の偏りや滞留の傾向をつかむことに役立てられると考えられます。
一方で、分かるのは基本的に「リーダーの範囲内にあるかどうか」です。エリアの中のどの位置にあるか、どう動いたかまで把握するには、リーダーの増設など追加の設備が必要になるのが一般的です。
2-3. カメレオンコード × AI:「座標・動線」のデータ
QRコードもカメラで読み取れますが、一般的には近い距離で1つずつ読み取る使い方が中心です。カメレオンコードは、斜めからでも読み取れるなど、カメラ映像からの読み取りに向いた特徴を持つコードです。カメラの視野内にある複数のコードを一度に認識できます(公表値では一度に100個以上)。また、時速30kmで動いているものでも読み取れます。そのため、同じカメラ映像で、コードによる「どれか・誰か」の識別と、AIによる「どう動いたか」の追跡を組み合わせられます。得られるのは、個体ごとの座標や動線のデータです。
この組み合わせを形にしたのが、いろあと WorkerMotion AI Trackingです。
- AI:カメラ映像から作業者を検出し、動きを座標レベルで追跡する
- カメレオンコード:作業服などに付けたコードを読み取り、追跡している作業者が「誰か」を識別する
作業者ごとの動線確認ができるため、「誰が・どの工程に・どれだけいたか」が分かり、作業のばらつきや移動のムダを個人単位で見直せます。個人の識別には顔認証を使わず、作業服などのコードで行うため、コードがカメラに映っていれば、服装がそろった現場でも作業者を見分けられます。動線管理の進め方は製造業の動線管理とはで解説しています。 モノの管理でも、仕掛品や治具にコードを付けておけば、カメラで「どれが・どこにあるか」を座標で把握できます(いろあと ProductLocation)。位置を把握する技術の精度の違いは、工場の位置検知システムとはで詳しく整理しています。
3. 「AIの画像認識だけ」ではだめなのか
ここで、「カメラとAIがあれば、コードもタグも不要なのでは?」と考える方もいるかもしれません。
AIの画像認識は、映像の中から「人」「フォークリフト」「箱」といった種類を見分けることを得意とします。しかし、同じ型番の治具や通い箱、同じ作業服・ヘルメットの作業者など、見た目が同じ個体を区別することは苦手としやすい技術です。「治具がある」「人がいる」ことは分かっても、顔認証などを使わない限り、「どの治具か」「誰か」までは判別しにくいのが一般的です。
AIカメラによる動線分析は、「匿名の人の流れ」を捉えるものが多いと考えられます。人の流れの傾向を知るには十分ですが、個体ごとの記録が必要な場面では、コードやタグによる識別を組み合わせる必要があります。AIとコードは置き換え合うものではなく、役割を分担するものだといえます。
4. 目的別:認識技術の選び方
次の4つの問いで、自社の目的に合う技術を絞り込んでみてください。
問1:AIに何を分析させたいか?
在庫数や出荷実績の傾向なら、バーコード・QRコードの「点」のデータでも十分な場合があります。通過・滞留の傾向ならRFIDの「エリア」のデータ、作業者やモノの動き方まで分析したいならカメレオンコードとカメラによる「座標・動線」のデータが向いています。
問2:対象が見える位置にあるか?
箱の中や物陰など、見えない場所にある対象を読み取りたい場合は、見通しが不要なRFIDが有力です。対象がカメラに映る範囲にあるなら、カメレオンコードが候補になります。
問3:電波を使えるか?
電波の使用に制限がある現場や、金属・液体を多く扱う現場では、電波を使わないバーコード・QRコードやカメレオンコードが検討しやすくなります。
問4:読み取りの手間をどこまで減らしたいか?
1点ずつかざす作業を前提にできるならバーコード・QRコード、まとめて読み取りたいならRFIDやカメレオンコードが候補です。カメレオンコードは、固定カメラで自動的に読み取る使い方のほか、スマートフォンで複数のコードをまとめて読み取る棚卸(いろあと Mobile)にも活用されています。棚卸の効率化については製造業の棚卸を効率化する方法もご覧ください。
また、技術は1つに絞る必要はありません。出荷ラベルは従来どおりバーコードを使い、工場内の仕掛品の所在や作業者の動線はカメレオンコードとカメラで把握する、といった併用も考えられます。
なお、カメレオンコードは画像認識で読み取るため、コードがカメラに映る必要があり、カメラの撮影範囲にも限りがあります。コードの汚れや照明の条件によって、読み取りに影響が出る場合もあります。導入前には、対象の置き方やカメラの配置が現場に合うかを確認することが大切です。
5. まとめ
- バーコード・QRコードは安価で普及しており、ハンディ端末で読む運用ではスキャンした瞬間の「点」のデータになる
- RFIDは見通しがなくても一括で読み取れ、「エリア」単位のデータを自動で集められる
- カメレオンコードはカメラ映像からの読み取りに向いており、AIと組み合わせて個体ごとの「座標・動線」のデータを得やすい
- AIの画像認識は個体の識別を苦手としやすく、コードと役割を分担することで力を発揮する
認識技術を選ぶときは、「読み取れるかどうか」だけでなく、「集めたデータをAIでどう活用したいか」まで考えることが大切です。自社の目的に合わせて、技術を選び、組み合わせてみてください。
カメレオンコードとAIを組み合わせたソリューションについて詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
本記事で触れた効果・機能の詳細は、現場の環境・設備によって異なります。詳細は個別にご相談ください。